Jul 29, 2011

会社設立をしようか検討しています

私は現在、会社設立をするか検討しています。現在、私はIT関連の仕事をしています。そこでは、最近の不況でかなり厳しい状況にきており、最近では給料カットのようなゴトカジオゴています。その前には仕事についていない従業員を解雇することもありました。そのような現在の状況で、次のことを考えておかなければと考えてそこで会社設立をするか考えています。
銀行員が言ったが、今では事業資金の融資が減少しているようだ。これを必死に手形割引などでカバーしているとするが追いつかないようだ。割引でカバーすればするほど先には、つらいことになる。これまでの長期事業資金融資ができない場合に、融資残高が落ちて当然と考えている。
 「前向きに考えようよ。ポジティブシンキングにならないといけない」――。

 私はこの言葉を聞くと、うさんくささを感じる。これは、私の取材で知り得た印象でしかないが、特に社員数が50人に満たない小さな会社の、20〜30代の若い経営者からよく聞く。その大半が創業して10年以内の会社だ。中堅、大企業の経営者からは聞いたことはない。

 例えば、2007年の1月、赤坂にある出版社の経営者を尋ねたときのこと。彼は30代半ばまで主要出版社に編集者として勤務し、独立した。知人の紹介で会ったのだが、著名な経営コンサルタントの代わりに本を書いてほしいという依頼だった。つまり、ゴーストライターである。

 仕事を始めるにあたり、お金の話を詰めないといけない。200ページ前後の1冊の本をどのくらいの期間でいくらで書くのかを決めるのは、仕事を請け負うならば当たり前のこと。ところが、彼は冒頭で述べた言葉を繰り返す。「もっと前向きに考えましょうよ。物を作る人がお金のことを思い詰めたら、前に進みませんよ」と。

 その場でははぐらかされたので数日後、メールを使い、詰めようとした。しかし、彼は同じ言葉を繰り返した。私は、それより2年前にもこれと似た経験をした。2005年の12月、飯田橋にある編集プロダクションの30代後半の経営者にも同じようにあいまいにされた。この男性も「ポジティブシンキングでいきましょうよ」とお金の話を詰めなかった。

 出版業界は、お金の支払いにルーズである。こういう具合に、ペテンにかけようとする小さな出版社の経営者は少なからずいる。私がこの20年ほどで記憶のある限りでも、15 人くらいはいる。彼らはお金のことを決めようとすると、「前向きに」という言葉を持ち出すことで論点をそらす。そして、いつまでも決めようとはしない。

 こういった経営者は他の業界にもいる。私の印象なのだが、この10数年で増えたように思える。例えば、契約社員が契約の更新時に賃金や労働時間などを決めようとしたり、正社員が職場環境の改善を求めると、彼らは「前向きに考えよう」という言葉を持ち出す。

 初めはある程度、社員らの言い分を聞くのだが、自分が不利になるとこの言葉を使い始める。そして、その社員があたかも「後ろ向き」な性格や「ネガティブシンキング」であるかのように話を作り込んでしまう。経営者である自分は正しく、部下である社員たちが悪いという単純明快な構図である。このほうが周囲の社員を抱き込んで、その社員を包囲しやすいと察知しているのだろう。

 私は会社員経験の浅かった30代前半までくらいはその世論操作にあやつられ、賃金などについて話し合おうとする人を斜めに見ていた。しかし、ある本を読んでいるときにひらめくことがあった。それは、作家・森博嗣さんの著書『小説家という職業』(集英社新書)。本の中でこういう記述を見つけた。

 「ところで、人間というのは、自分が弱い部位を、相手に向かったときも攻める傾向がある。自分が言われたら腹が立つ言葉を、相手を攻撃するときに使う。その言葉にダメージを与える効果があると感じているからだ。したがって、悪口を言ったり、苛めたりする人間は、自分が悪口を言われたり、苛められたりすることを極度に恐れている。苛める方も、苛められて傷つく方も、この点で共通している」(87ページより抜粋)

 これは、小さな会社の経営者が使う「前向きに」という言葉に置き換えることができると思ったのだ。確かに彼らは、自分に何かを言ってくる社員を攻撃するときに「前向きに考えようよ。ポジティブシンキングにならないといけない」といった意味合いの言葉を使う。

 森さんの考えに従うと、その「前向きに」といった言葉、言い換えれば「後ろ向き」であることがいかにマイナスであるかを経営者自身がよく分かっているからなのだろう。きっと、自分がそのようにレッテルを貼られることを極度に恐れているからこそ、執拗(しつよう)に「前向きに」と持ち出すに違いない。この言葉を全く意識していないならば、わざわざ使うことはしないだろう。

●「負のエネルギー」を持っている経営者たち

 私が、20〜30代でそれまで勤務していた会社を辞めて新たに会社を興す人を観察していると、その6〜8割くらいは「過去に傷」があることに気がつく。例えば、上司や役員らとぶつかったり、自分の扱いが低かったりして退職している。

 あるいは、子どものころに家庭が不和であったりした人も少なくない。昨年、大手出版社の編集者から紹介されたコンサルティング会社の経営者は30代前半でありながら、2回離婚していた。大学受験などで挫折を経験している人もいた。少なくとも、一部のメディアが取り上げるような「光り輝く経営者」を私は取材で見たことがない。そのような人も役員や元社員、離婚した相手などから訴えられていて「傷だらけの人」なのだ。

 この人たちの多くは、いわば“負のエネルギー”を持っているといえる。だから、そのコンプレックスをカモフラージュするために、ホラを吹いたりして自分を大きくみせようとする。例えば「30社以上の出版社から本を書いてほしいという依頼があったが、断った」と話した経営者がいた。この業界の内情を多少なりとも知る私からすると、それは間違いなく、嘘である。

 彼らは、実は暗い過去の持ち主である。性格は「後ろ向き」であったり、「ネガティブシンキング」であるケースが多い。それを見抜かれるのが嫌であるがゆえに、盛んにその言葉を使うのではないだろうか。そして「前向きであれ!」ともっともらしいことを言いながら、自分にとって不利な状況を変えようとするのではないかと私は思う。

 森さんは、前述したくだりの最後でこう結んでいる。「苛められても気にしない人は、人を苛めない。悪口を言わない人間は、悪口を言われても腹が立たないのである」(87ページより抜粋)

 あなたに問いたい。会社の上司や経営者、取引先などから「前向きに考えようよ。ポジティブシンキングにならないといけない」と言われたら、どのように思うか。おそらく、多くの人は前向きな考えであるのだろうから、ことさら腹が立つこともないだろう。そのようにクールに相手を観察できるならば、すばらしいことだと私は思う。【吉田典史,Business Media 誠】

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